【松山市】伊予鉄道・郡中線が10月16日からワンマン運転へ。なぜ今なのか。運行本数は変わらず…変わらないからこそ見えてくることとは。
号外NET中予読者様から情報提供いただきました。伊予鉄道の郡中線が、2026年10月16日の始発便から全便ワンマン運転になります。松山市駅と郡中港駅を結ぶ郡中線。これまで車掌が乗務していた列車が、10月16日からは運転士1人で運行されることになります。
「ワンマン電車になる」と聞くと、運行本数が減ったり、利用者に大きな影響が出たりするのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、今回のダイヤ改正では、郡中線の運行便数は変更されません。利用者にとっては、基本的にはこれまでと同じように郡中線を利用できます。変わるのは、列車に乗務する「人」の部分です。
なぜ今、郡中線がワンマン運転に?
ワンマン運転とは、車掌が乗務せず、運転士一人による運行方法のこと。車掌の業務とされる運賃収受や発車時の安全確認などは運転士が兼務することになります。今回のワンマン化で気になるのが、「なぜ今なのか」という点です。伊予鉄道は、郡中線のワンマン運転実施に伴って10月16日にダイヤ改正を行うことを発表しています。郡中線のほか、高浜線の一部列車でも時刻が変更されますが、今回のダイヤ改正による運行便数の変更はないとしています。実は伊予鉄は2023年にも「電車・バスの深刻な運転士不足」を理由の一つとしてダイヤ改正を行っています。
流れとしては2023年には運転士不足への対応として運行体制の見直しが行われ、2026年には車掌を乗せないワンマン化へと進めた…現在の鉄道運行を維持していくため、省人化しながら今後も鉄道を維持していくための体制づくりを進めていると言えそうです。
JR西日本のワンマン電車とは少し違う?
「ワンマン電車」になる影響を考えた時、JRの地方路線を思い浮かべる人もいるかもしれません。JR西日本では、地方路線などで以前からワンマン運転が行われています。例えばキハ120形は、JR西日本が「ローカル線区用の小型軽量ワンマン気動車」としている車両です。

写真はイメージです
ただ、同じ「ワンマン運転」でも、郡中線の今回のワンマン化とは背景が少し異なります。地方の利用者が少ない路線で、少ない乗務員で運行するためにワンマン化されてきたケースがある一方、郡中線は11.3kmと短いものの、松山市駅と郡中港駅を結び、松山市や伊予市方面の通勤・通学などにも利用されている都市近郊の路線です。過疎地域における閑散路線とは状況が違うため、伊予鉄道は車掌を乗せて運行できる体制を維持する努力をしてきたと考えられます。今回の郡中線では、ワンマン化しても運行便数を減らすわけではありません。「利用者が少ないから車掌をなくす」というよりも、「限られた人員でも、今の運行を維持するために車掌を乗せない」という意味合いが強い今回の変更。これまで車掌を配置して運行してきた都市近郊私鉄でも、人手不足によってワンマン化が必要になったともとらえられます。
松山の人への影響は?
利用者にとって最も気になるのは、実際の生活への影響でしょう。今回の変更では、郡中線の運行便数は変わらないため、あまり大きな影響はないと思われます。一方で、10月16日からはダイヤが変わるため、郡中線を通勤・通学などで利用している人は、普段使っている時間の列車が変更されていないか確認しておくと安心です。→ダイヤ改正のお知らせ
また、ワンマン化するにあたり、郡中線全駅にホームミラー設置、ドアチャイムや車内防犯カメラの設置など、ワンマン運転に対応した安全設備も導入されたようです。
「今は変わらない」からこそ見えてくること
今回のワンマン化で、松山市民の生活が突然大きく変わるわけではありません。むしろ注目したいのは、これまで車掌が乗務していた郡中線でも、運転士・車掌の人員確保を前提とした従来の運行体制から、少ない人数で鉄道を維持する体制へと変わり始めたことです。伊予鉄道では今年、鉄道・バス運転士の賃金を10月に前倒しして実質10%アップすると発表しています。人材を確保するための待遇改善を進める一方で、ワンマン化によって必要な乗務員数を抑える。伊予鉄道では、人手不足に対して「人を確保する」と「少ない人数で運行する」の両面から対応していることが分かります。

「ワンマン化したから不便になる」というわけではないので、今は影響が小さいけれど、伊予鉄も運転士・車掌不足への対応を迫られる段階に入ったと捉えられるニュースだと思います。郡中線のワンマン運転は、松山の公共交通のこれからを考える上でも、そんな変化を感じさせる出来事なのかもしれません。
☆ともあき様、情報提供いただきありがとうございました!☆







