【砥部町】愛媛県産には愛がある…で知られる詩人「坂村真民記念館」が2026年9月末で閉館へ。なぜ?閉館後の作品や文化はどうなる?

愛媛県

砥部町大南にある「坂村真民記念館」が、2026年9月30日をもって閉館することになりました。「念ずれば花ひらく」「愛媛県産には愛がある」で知られる詩人・坂村真民さんの功績を伝えてきた施設だけに、閉館を惜しむ声も聞かれます。なぜ坂村真民記念館は閉館することになったのでしょうか。そして、閉館後、館内の作品や資料、坂村真民さんの文化的価値はどう引き継がれていくのでしょうか。

坂村真民記念館は2026年9月30日に閉館

坂村真民記念館は、2012年3月11日に砥部町大南に開館しました。熊本県出身で、晩年を砥部町で過ごした坂村真民さんの詩や書、愛用品などを通して、その生涯や作品を伝える施設として、多くの人が訪れてきました。しかし、砥部町は公共施設の再編の一環として、坂村真民記念館を2026年度内に閉館する方針を決定。町議会では「坂村真民記念館条例の廃止」が可決され、2026年9月30日をもって閉館、10月1日から条例を廃止することになっています。

なお、館内で行われていた展示業務は2026年6月30日で終了しています。そのため、現在は閉館に向けた準備期間となっており、今から「最後に展示を見に行く」ということはできません。

なぜ坂村真民記念館は閉館するの?

大きな理由の一つが、来館者数の減少と赤字運営です。砥部町の「公共施設再編方針」によると、2024年度の来館者数は4,061人。開館当初には約2万3,000人が訪れていましたが、その後は減少傾向が続いていました。さらに、2024年度の運営赤字は約1,935万円。2012年度の開館以降の累積赤字額は約1億7,600万円に達しています。町はこれまで経費の削減や売上確保策などを検討してきましたが、抜本的な改善には至らなかったとしています。また、直近の来館者アンケートでは、来館者の96%が町外からの来館者で、町民は4%だったことも明らかになっています。

民間に運営を任せる方法はなかった?

「町が運営するのが難しいなら、民間委託などで残せないの?」と思う人もいるかもしれません。実際、砥部町議会でも、委員から民間委託や寄付を募るなど、存続する方法はなかったのかという質問が出ています。これに対して町は、収益性の低さから民間が引き受けるのは現実的ではないと説明。さらに、主要な展示作品について返還希望が出ていることから、現在の記念館の魅力を維持することも難しいとしています。企業版ふるさと納税などについても、過去に企業からの打診はなかったとのことです。議会で民間による存続の可能性が問われたものの、町としては現実的ではないと判断したという状況です。

閉館したら、展示されていた作品はどうなる?

砥部町によると、町が所有している作品は適切に保管する方針です。一方で、現在の記念館には坂村真民さんのご家族が所有する作品もあり、西澤家から返還の希望が出ています。そのため、閉館後も現在の展示作品がすべて町に残り、別の施設でそのまま展示されるというわけではありません。

「坂村真民さんの文化」までなくなるわけではない

今回の閉館は、坂村真民さんの顕彰そのものを終了するという意味ではありません。砥部町は、記念館という「施設」を閉じた後も、形を変えて坂村真民さんの功績を後世に伝えていく方針です。公共施設再編方針では、今後の取り組みとして、

・オンラインアーカイブ・デジタルミュージアム
・記念展の開催
・学校教育での活用
・町内施設での展示
などが示されています。教育委員会でも、坂村真民さんは砥部町の名誉町民であり、その功績を継承する必要があるとして、必ずしも施設という形態である必要はないとの考えが示されています。つまり、記念館という建物はなくなるけれど、坂村真民さんの詩や生き方、功績を伝える取り組みは続けるという方向です。

閉館後の建物はどうなる?

記念館の建物についても、すぐに解体すると決まっているわけではありません。砥部町は2026年度の重点施策として、五本松・大南地区で公共施設や空き家を活用した「魅力創出事業」を進めています。滞在・周遊型の観光地づくりを目指し、官民連携による地域の活性化を検討しています。

閉店イメージ

(画像はイメージです)

また、町は旧坂村真民記念館について、砥部焼磁器創業250周年記念事業や国民文化祭などの際に、文化発信拠点として活用する考えも示しています。そのため、今後この建物がどのように活用されるのかにも注目したいところです。

「今の坂村真民記念館」は、もう見ることができません

坂村真民記念館は、2012年の開館以来、坂村真民さんの世界に触れられる場所として親しまれてきました。しかし、展示業務は2026年6月30日に終了。9月30日の閉館を待つ現在、これまでのように館内の展示を見ることはできません。町が所有する作品は保管され、今後はデジタルミュージアムや町内施設での展示など、新しい形での継承が検討されています。ただし、現在展示されている作品のすべてが今後も同じ場所で見られるわけではありません。坂村真民さんの作品を「実物」で見ることができた、これまでの記念館の役割が終わることは、大きな転換点となりそうです。「施設を残す」のか「文化を残す」のか…今回の坂村真民記念館の閉館は、人口減少や財政負担を抱える地域で、文化施設をどう未来へつないでいくのかを考える機会にもなりそうです。

坂村真民記念館
住所
愛媛県伊予郡砥部町大南705
営業時間
閉館
最寄り駅
伊予鉄バス「砥部焼伝統産業会館前」バス停から徒歩3分
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※情報は取材当時のものです。来店の際は公式情報をご確認ください。

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