【松山市】2日で15,000人を集めるアイリーフェスティバルの主催者って何者?謎多き5人組を取材しました。
ジャークチキンのキッチンカーを経営、クラブではマイクを握り、マルシェやイベントでサウンドシステムを出しジャマイカさながらの野外イベントにしてしまう……そんな面白い人たちが松山にいると知り、取材しました!
PORT ROYAL
松山市三番町にある「CLUB BIBROS」で奇数月の第一土曜日に開催しているレゲエイベント「PORT ROYAL(ポートロイヤル)」。愛媛のレゲエシーンをけん引する代表的なイベントであり、現在愛媛のクラブで定期的に行われている唯一のレゲエイベントです。現在メンバーはDeejay(ラップやリズムで韻を踏んで歌う人)3人とSinger(メロディを歌う人)とSound(他の音楽のジャンルでいうDJ)の5人のクルーで成り立っています。キッチンカーを運営するYU-Gさんを始め、ラバダブ(即興)に定評のあるOLIVAさん、全盲DeejayのJOLLY BIGさん、甘い歌声の蔴暉a.k.a.RABBIT GANJAHさん、ジャマイカで1年間武者修行・毎晩ポコチャ配信を続けるストイックな LIGHTER MID NIGHTさんの5人は、全員同級生。なぜレゲエなのか、今後愛媛でどういう活動をしていくのか、紐解きました。
レゲエの入口になりたい
彼らの活動で記憶に新しいのが、2025年5月10日、5月11日に城山公園ふれあい広場にて行われた「アイリーフェスティバル」。
流している音楽はレゲエのみという、一見コアなイベントに見えますが、様々なキッチンカーを呼び、フォトブースやお子様向けのワークショップ、巨大遊具、縁日コーナーなどもある、非常に間口の広いイベントでした。2日で15,000人もの人が集まったそう。
そこで普段レゲエを聴かない人たちがレゲエに触れ、「レゲエって面白い」「こんな音楽だったんだ」と知ってもらう機会になったとYU-Gさん。
愛媛のダンスチーム「SmileHeart」もアイリーフェスティバルのステージでダンスをしてくれたそうですが、今回のイベントでポートロイヤルやレゲエのファンになったお子さんも多かったそうです。さらに「他のイベントを主催している方からも、うちのマルシェで音響を出してほしいという要望もいくつかいただいています。」とのことで、その反響の大きさに正直驚いている、と。ポートロイヤルは本格的な可動式音響(サウンドシステム)を所有している、YU-Gさんがキッチンカーを出せる、ポートロイヤルクルーがステージパフォーマンスできる、というのが非常に強い!彼らだけでひとつのイベントができてしまうんです。聞けば、ここまでいろいろできるのは、四国はおろか全国でもあまり例がないそう。レゲエを広めたいポートロイヤル、たくさんの集客を見込みたいイベント側の思惑、着実なレゲエファンの増加が合致し歯車がまわり始めています。
レゲエブーム終焉時に集まったのが現在のポートロイヤル
レゲエは1960年代末にジャマイカで生まれた音楽ジャンル。裏打ちリズム、強調されたベースライン、そして社会的・精神的メッセージを含んだ歌詞が特徴です。ジャマイカのレゲエを語ると長くなってしまうので割愛しますが、1980年代はボブ・マーリーの影響で全世界でレゲエが流行していました。日本もその流行にのり、「ジャパニーズレゲエ」と呼ばれるジャンルが出来上がるほどレゲエブームに。ただ、平成の終焉と共に下火になっていき、かつての勢いは衰えていきます。加えてコロナ禍なども経て、レゲエの良さでもある「現場」と呼ばれる多くのイベントが中止に。愛媛で活躍していたレゲエDeejayやSinger、またポートロイヤルの何人かのメンバーも、やはり辞めてしまう人が多かった、とのこと。
現在のポートロイヤル5人がレゲエを始めた頃はもうブームはかなり下火になっていたようですが5人とも幼い頃からジャパニーズレゲエが好きで、三木道三や湘南乃風といったジャパニーズレゲエのアーティストの影響を強く受けてレゲエを始めた、とのことでした。「高校の時はオケ(歌詞の入っていない音楽)を元セレクターの高校の先生から渡されてリリック(歌詞)をずっと書いていました。」と高校の同級生だったYU-Gさん、JOLLY BIGさん。なんとなく好きだなこの音楽…と思ったのがたまたまレゲエだったという4人。彼らはブームを作り上げた先人たちの影響を色濃く受けた最後の世代だったのかもしれません。ポートロイヤルのクルーが歌う歌が日本人にとって聴きやすいこと、選ぶサウンドが日本人にとって聴きなじみのあるものが多いのも、彼らのこだわり。OLIVAさんの持ち歌に「花粉症」がテーマの曲があるくらい(笑) レゲエはメッセージ性が強い音楽ですが、純粋に楽しめる曲もたくさんあるということがポートロイヤルの音楽を聴くとわかります!はじめましての人にも、レゲエ好きにも届くように…。先輩が築き上げたポートロイヤルを引き継いでいる5人は、先輩方が当初掲げていた「レゲエの入口」を意識するということを大切にしています。コア層だけ楽しめればいい、ではなく、レゲエを知らない人に知ってもらいたい、好きになってもらいたい、その一心で活動を続けているんだそうです。
高校卒業後、クラブやジャマイカで合流することで自然と5人がポートロイヤルとして活動。YU-Gさんは整体の職場を辞めてレゲエを続けるためにキッチンカーを始め、蔴暉a.k.a.RABBIT GANJAHさんは車を売ってお金を作りジャマイカへ修行へ行き、帰国後は鳥取からポートロイヤルに合流するために愛媛へ移住。ブームとは関係なく4人とも「レゲエが好き」「レゲエを続けるためには」で人生の岐路を選択していることが印象的でした。情熱の傾け方が半端じゃない!
今後のポートロイヤル
レゲエはアンダーグラウンドなイメージがありなんとなく「怖い」「夜のイベントの音楽」と誤解されがちですが、ブームが下火になった今、ポートロイヤルは昼間のイベントを数多く打つことで、これまで馴染みのなかった方やお子さんにまで浸透させていきたいと模索しています。そのひとつが2025年5月の「アイリーフェスティバル」でした。
今はヒップホップが人気ですが、10代の若い子たちがレゲエを聴き続けてくれて、数年後には再びレゲエブームが巻き起こるかもしれません!そのブームの立役者である彼らを、ずっと追っていきたいと思います。愛媛のレゲエといえばポートロイヤル、という存在になれるよう、クラブだけにとどまらず、マルシェや昼のイベントなど多方向からアプローチしています。何か面白そうな企画があれば、ポートロイヤルが力になってくれるかも?進化していく5人に注目です。
今後のイベント
YU-Gさんによると、2025年9月14日に伊予市の五色浜でお昼の野外イベントが決定しているそうです。フライヤーができ次第共有いただけるのでまた号外NETでもご紹介できればと思っています。キッチンカーが数台集まり、海とサウンドシステムから流れるレゲエは最高の雰囲気。あまりレゲエに馴染みがなかった方も、ポートロイヤルのレゲエに触れてみては。きっと楽しませてくれるはず。夏の思い出に、是非行ってみてくださいね。今後もキッチンカーに音楽にイベントと、ポートロイヤルに目が離せません。愛媛を盛り上げてくれること間違いなし。応援していきたいと思います!